「この前、こんなところに行ってきたんだ」
そう言って、気になる人がスマホをこちらへ向けてくれる。画面には旅行先の景色や、ちょっと変な寝相の猫。普段は知らない相手の時間を少し見せてもらえたようで、なんだかうれしくなることってない?
「私に見せたいと思ってくれたのかな」と期待するのも自然なこと。ただ、写真を見せたことだけで、恋愛として特別な気持ちがあるとまでは分からないんだよね。うれしさはそのままに、写真の向こうにある話を一緒に楽しんでみよう。
写真は「相手の好き」を知る小さな入口
同じ旅行の写真でも、きれいな景色を見せたい人もいれば、おいしかった朝ごはんの話をしたい人もいる。「旅行が好きなんだ」で終わらず、何を選んで見せてくれたのかに目を向けると、その人らしい話が見えてくることがあるよ。
たとえば、観光名所の写真より、路地で出会った猫の写真を楽しそうに説明してくれるなら、その猫との出会いを聞いてみる。だからといって、写真から性格を分析しきる必要はない。今その人が話したいことを、一緒に眺めるくらいでいいんだ。
「どこ?」の先に、もう一つだけ聞いてみる
写真を見せてもらうと、とっさに「どこ?」「いつ行ったの?」と聞くことが多いよね。そこから相手が話を続けたそうなら、体験のほうへ少し近づいてみよう。
「この景色、実際に見たらどんな感じだった?」
「いちばん印象に残っているのは、どの場面?」
場所当てのような会話から、その人が感じたことを聞く会話へ。答えが「寒くてそれどころじゃなかった!」でも、それはそれで写真だけでは見えなかった話だよね。
質問を上手にしようと頑張りすぎなくても大丈夫。「ここ、すごく気になる」と、自分が目を留めたところを伝えるだけでも話の入口になるよ。
心理学では、話す内容だけでなく「受け止められた感じ」にも注目する
Laurenceauらの研究では、参加者が日常のやり取りの直後に、自分や相手がどの程度話をしたか、相手にどう応じてもらったと感じたか、その場でどれくらい親密さを感じたかを記録した。1週間または2週間の日記を用いた二つの研究で、自己開示と相手からの応答の受け止め方が、親密さの経験と関連していたんだ。
二つ目の研究では、事実や情報を話すことより、感情を話すことが親密さの強い予測因子になっていた。ただし、これはスマホの写真を見せる効果や、特定の質問で恋が進むことを試した実験ではないし、関連があることから因果関係までは決められない。
会話のヒントとして受け取るなら、写真の情報をたくさん集めるより、相手が話してくれた気持ちにも耳を傾けること。「早起きして大変だったけど、行ってよかった」と言われたら、「大変なぶん、うれしかったんだね」と、自分なりに受け止められるよ。
「すごいね」が出てこなくても、会話はできる
見せてもらった写真に詳しくなかったり、同じ趣味がなかったりすると、気の利いたことを言えなくて焦るかもしれない。そんなときは、無理に大きく褒めなくていいんだ。
「私は詳しくないんだけど、どんなところが好きなの?」
知っているふりをするより、相手の楽しみ方を教えてもらえる。もちろん、全部に興味を持たなきゃいけないわけではないよ。「その話をしているとき、楽しそうだね」と感じたことを伝えたり、自分の好きなものを少し話したりしてもいい。
共通点を急いで作るより、違う楽しみを持つ相手を知っていく時間。それも、なかなかいいものだよね。
写真をたくさん見せてくれるのは、心を開いているから?
話が弾んで次々に写真を見せてくれると、少し特別に感じるかもしれないね。でも、写真で説明するのが好きなのか、その出来事がうれしかったのか、恋愛感情なのかは、枚数では分からない。
今は「こんな話を共有できたんだな」と受け取ってみよう。もっと話したいと思ったら、「今度、そのお店の話も聞きたい」と自分の希望を添えられる。好意の証拠にしなくても、次の会話を楽しみにすることはできるんだ。
見せてもらった一枚を、大切に扱う
相手が画面を向けてくれたときは、選んで見せてくれた写真を一緒に見る。スマホを預かった場合も、別の写真へ勝手に送らず、「次も見ていい?」と聞くと、お互い落ち着いて話せるね。
保存したい写真があれば、「この景色の写真、送ってもらってもいい?」と確認しよう。画面で見せてもらうことと、自分の手元へ残すことは別。断られても、親しさを否定されたと考えなくていいよ。
会話が長くなったら、気になった一枚を残して終えよう
楽しくても、そろそろ食事に戻りたいときや、移動する時間になることもある。そんなときは、見せてもらった中で心に残ったものを伝えて区切れるよ。
「あの夕焼けの写真、好きだった。見せてくれてありがとう。続きはまた聞かせて」
すべての写真を見切らなくても、その日の会話が足りなかったわけではない。気になった一枚があれば、それで十分なこともあるんだ。
スマホの置き方が気になるときはスマホを伏せて置く心理、一緒に何かを見つける場面は指さして「見て」と言う心理も読んでみてね。
「脈ありかな」の隣に、「どんな時間だった?」も置いてみる
写真を見せてもらえたうれしさまで、打ち消さなくていい。ただ、その一枚で恋の答えを出さずに、どんな話を聞けたか、自分はどんな時間を楽しいと感じたかにも目を向けてみよう。
次に「これ見て」と画面が向いたら、相手の気持ちを当てようとするより、気になったところを一つ聞いてみる。写真の枚数より、その一枚から生まれた会話を大切にできるといいね。
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参考文献
Laurenceau, J.-P., Barrett, L. F., & Pietromonaco, P. R. Intimacy as an interpersonal process: the importance of self-disclosure, partner disclosure, and perceived partner responsiveness in interpersonal exchanges. Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1238–1251 (1998).