会う日が増えたり、生活を一緒に考えたりする時期に、恋人への戸惑いも増えた。「親しくなったのに、なぜ」と感じる場面を考える枠組みが、関係の乱気流モデル(relational turbulence model)です。
このモデルは、関係への不確実さと、相手が日常の活動に与える影響に注目します。ただし、親しくなる途中に必ず喧嘩が増えるという法則でも、つらい関係を我慢する根拠でもありません。
二つの観点を分ける
SolomonとKnoblochが提案したモデルは、気軽な交際から互いに関わりの深い関係へ移る際の揺れを説明しようとするものです。
| 観点 | 日常に照らした例 |
|---|---|
| 関係への不確実さ | 自分は何を望むか、相手はどう考えるか、二人はどんな関係か分からない |
| 相手からの干渉 | 予定や日課に相手が関わり、元のやり方が進めにくく感じる |
| 相手からの促進 | 相手の関わりによって、活動や目標が進めやすく感じる |
ここでいう「干渉」は研究上の生活への影響で、すべてが支配や悪意を意味するわけではありません。逆に、監視や脅しなどの行動を「関係が深まる自然な段階」と扱ってよいわけでもありません。
感情との関連を調べた研究
Knoblochらの2007年の研究は、交際中の525人の自己報告を分析しました。関係への不確実さや相手からの干渉は、否定的な感情と正に関連し、活動の促進は負に関連していました。
同じ時点の質問紙調査なので、不確実さが感情を引き起こしたと決めることはできません。気分が、相手の関わりの評価に影響する可能性もあります。モデルは考える視点を与えますが、個人の気持ちを診断するものではありません。
「親密さの中間で必ず荒れる」は支持が一様ではない
2008年の研究では、米国の大学生315人が6週間、週ごとに回答しました。親密さと不確実さ・干渉との曲線的な関連は、当初の仮説と一致しませんでした。一方、親密さは相手の影響や活動の促進と正に関連していました。
つまり、理論のすべての予測がそのまま確認されたわけではありません。交際の月数や親密さだけで「今は荒れる時期だから仕方ない」と説明し切るのは避けたいところです。
困りごとを、関係の意味と生活の段取りに分ける
以下はモデルを日常に照らした整理例で、効果を検証した手順ではありません。
関係の意味が分からない場合
「会う回数を増やしたいけれど、お互いの希望が分からない。どのくらいが心地よい?」など、知りたいことを一つに絞れます。「不安をなくして」より、話題を具体的にできます。
日課が進めにくい場合
「会うのは楽しみだけど、平日の夜は勉強の時間も残したい。曜日を相談したい」と、好意と時間の使い方を分けて伝える例があります。
助かっている関わりもある場合
負担だけでなく「予定を早めに教えてくれると助かる」など、続けてほしい行動も具体化できます。相手が関わること自体をすべて問題にする必要はありません。
理論の名前より、具体的な出来事を見る
相手の予定変更で困ったことと、「大切にされていない」と感じた解釈は、いったん分けて書けます。確認したいこと、変えてほしい段取り、自分で選びたい時間を整理する材料にしてください。
繰り返される恐怖や尊重されない状態を、このモデルで正当化しないことも大切です。関係の説明がつくことと、今の関わりに同意できることは別です。
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参考文献
Solomon, D. H., & Knobloch, L. K. (2004). A model of relational turbulence. Journal of Social and Personal Relationships, 21(6). 原著論文
Knobloch, L. K., Miller, L. E., & Carpenter, K. E. (2007). Using the relational turbulence model to understand negative emotion within courtship. Personal Relationships, 14(1), 91–112. 原著論文
Solomon, D. H., & Theiss, J. A. (2008). A longitudinal test of the relational turbulence model of romantic relationship development. Personal Relationships, 15(3), 339–357. 原著論文