話すうちに言い回しが似てきたら、相性がよいのでしょうか。言葉の使い方の似かよりと、相互の関心や交際の継続との関連を示した研究はあります。ただし、相手の口調をまねれば恋がうまくいくと証明されたわけではありません。
心理学でいう「言語スタイル・マッチング(language style matching:LSM)」は、同じ趣味の単語を使うことや、絵文字を合わせることとは異なる指標です。
何を「似ている」と測るのか
LSMでは、代名詞、冠詞、前置詞、接続詞など、文章を組み立てる機能語の使われ方を比較します。Irelandらの研究は、英語の会話やメッセージを分析し、二人がこうした語のカテゴリーをどの程度似た割合で使うかを調べました。
| よくあるイメージ | 研究でのLSMとの違い |
|---|---|
| 好きな作品や趣味が同じ | 話題の一致を直接測る指標ではない |
| 同じスタンプを送る | 絵文字やスタンプの一致を検証した研究ではない |
| 語尾を意識してコピーする | 自然に生じた言語使用の似かよりを分析している |
初対面と交際中の二つの研究
2011年の論文では、短時間の出会いの会話40組と、交際中の86組のメッセージが分析されました。前者ではLSMが高い組ほど双方が再会を希望しやすく、後者ではLSMが高い組ほど3か月後も交際している傾向がありました。
ただし、これらは自然な会話の特徴と関係の結果を結びつけた分析です。「文体をそろえる訓練」を無作為に割り当て、その効果を比較したものではありません。若い参加者を中心とする研究で、日本語のLINEや幅広い年代に同じように当てはまるかも別の問いです。
関連があっても、攻略法にはならない
関心を持ってやり取りするうちに言語の使い方が近づく可能性も、やり取りの調整が関係に関わる可能性もあります。因果の向きを、この研究だけで決めることはできません。
したがって「同じ語尾を使えば成功率が上がる」「口調が違うから脈なし」とは言えません。研究でいう統計的な予測は、一人の相手の気持ちを確実に判定することとは異なります。
LINEでは、模倣より伝わりやすさを相談する
日常で考えるなら、相手の文章を採点するより、互いに読みやすい送り方を確かめる方が具体的です。以下はLSMの効果が検証された方法ではなく、連絡の希望を話すための例です。
- 「長い話は電話の方が楽? メッセージでゆっくり読む方がいい?」
- 「予定の話だけ先に送るね。ほかは余裕のあるときに返してもらえたらうれしい」
- 「短い返事でも大丈夫だけど、日程の確認だけお願いできる?」
相手が短文だから自分も必ず短文にする、絵文字を使わない人には絶対に使わない、といった規則にする必要はありません。用件、忙しさ、言葉の好みを確かめられます。
文体が似ていなくても、関係全体を見る
文章の長さや語尾だけでは、信頼、尊重、会う意思などは分かりません。「読みにくい」「冷たく感じる」と困っているなら、その具体的な場面を伝えることができます。言葉の特徴を恋愛の点数に変えるより、二人が無理なく意思を伝えられるかを確認する材料にしましょう。
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参考文献
Ireland, M. E., Slatcher, R. B., Eastwick, P. W., Scissors, L. E., Finkel, E. J., & Pennebaker, J. W. (2011). Language style matching predicts relationship initiation and stability. Psychological Science, 22(1), 39–44. 原著論文