失恋後、友達と話して少し笑えたのに、元恋人への気持ちは残っている。「気晴らしが効かなかった」と感じるかもしれません。しかし、今の気分が楽になることと、相手への恋愛感情が弱まることは、同じ変化ではありません。両者を別々に測った小規模な実験では、気晴らしと相手を否定的に捉え直す方法で、異なる結果が出ています。
この記事では、忘れるための万能な手順ではなく、研究が何を測り、何が分からないのかを整理します。
失恋を経験した24人に、何をしてもらったのか
LangeslagとSanchezの研究では、別れをつらく感じていた20〜37歳の24人が参加しました。女性20人、男性4人という小さな集団です。参加者は元恋人の写真を見る課題の中で、次のように考え方や注意の向け先を変えました。
| 条件 | 実験で行ったこと |
|---|---|
| 相手の否定的な再評価 | 元恋人の好ましくない面を考える |
| 恋愛感情そのものの再評価 | 好きな気持ちがあることを受け入れるように捉える |
| 気晴らし | 元恋人とは関係のない、楽しいことを考える |
| 調整しない条件 | 特定の調整方法を使わず写真を見る |
研究者は、本人が報告する恋愛感情の強さと、そのときの気分の快・不快などを比較しました。日常生活で数週間実践する回復プログラムの検証ではありません。
好きが弱まる方法と、気分が楽になる方法は違った
元恋人の否定的な面を考える条件では、恋愛感情の自己報告が弱まりました。一方、その場の気分は、調整しない条件より不快になりました。
気晴らしの条件では、恋愛感情は弱まりませんでしたが、気分はより快い方向へ変化しました。恋愛感情を受け入れるように捉え直す条件では、この実験で測った恋愛感情や快・不快の明確な変化は確認されませんでした。
「まだ好きだから、少し休んでも意味がなかった」と結論づける必要はない、という見方につながる結果です。気分を少し楽にする時間には、感情を消すこととは別の目的があります。
「相手の欠点を探せば解決」と勧められない理由
恋愛感情が弱まったという結果だけを取り出すと、欠点を繰り返し思い出せばよいように見えます。しかし、この方法ではその場の不快感も高まりました。怒りや反すうが長引く人にも有効か、生活全体が改善するかは、この短時間の実験では分かりません。
相手を悪人だと決めつけたり、なかった問題を作り上げたりする必要もありません。「合わなかった点を現実的に振り返る」ことと、「自分をつらくするために欠点を掘り続ける」ことは分けて考えたいところです。
日常では、今日の目的を小さく分ける
以下は研究で効果が確認された手順ではなく、結果を日常に照らして考えるための例です。
- 今日は休みたい:短い散歩や好きな番組など、相手と関係のない時間を取る。「忘れられたか」で採点しない。
- 関係を振り返りたい:良かった点と困った点を事実として分け、負担が増すなら途中でやめる。
- 話を聞いてほしい:「解決策より、今日は少し別の話もしたい」と友人に伝える。
元恋人の写真を無理に見たり、つらさを強める課題を自分で再現したりする必要はありません。気晴らしだけで生活上の課題が放置されていると感じるなら、休む時間と、必要な手続きや相談をする時間を分ける考え方もあります。
この実験から言えないこと
参加者は24人で、性別にも偏りがあります。主に実験中の短期的な変化を調べたため、何日で忘れられるか、復縁するか、長期的な回復が早まるかは判断できません。自己報告の恋愛感情が弱まることは、記憶が消えることでもありません。
また、一つの条件で変化がなかったことから、感情を受け入れること全般が無意味だとは言えません。今回の課題、測定、対象者の範囲で読む必要があります。
まだ好きでも、少し楽になれた時間を認めていい
失恋後の状態を、一つの「忘れられた度」で測ると、小さな休息まで失敗に見えてしまいます。恋愛感情、今日の気分、睡眠や仕事などの生活は、別々の軸として眺められます。つらさが強く生活が保てないときは、一人で研究の方法を試し続けるより、身近な支援や専門家への相談を選んでください。
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参考文献
Langeslag, S. J. E., & Sanchez, M. E. (2018). Down-regulation of love feelings after a romantic break-up: Self-report and electrophysiological data. Journal of Experimental Psychology: General, 147(5), 720–733. 原著論文